紀伊半島の南部に広がる紀南地方・熊野は、 熊野三山をはじめとした信仰の地であると同時に 日本建築に欠かせない檜や杉の産地でもあります。 豊かな自然を活かし古くから林業が営まれてきたこの地の木材は「熊野材」呼ばれ、 節の少ない良材として知られてきました。

1.木材の出材「木馬」(きんま)

「木馬」とは?

ソリ状の土台に伐採した木材を積み、鎹(カスガイ)やロープで固定したもの。一度に大量の木材を山から集積所まで下すのに使われていた。

現在では架線集材等に代わっている。

2.作業道「木馬道」

「木馬道」とは?

先程出てきた木馬が通る道の事。急勾配だと、木馬の下る速度が速すぎて扱えないので、勾配が緩やかになるよう作ったもの。また、道には丸太を並べ木馬が滑り、移動させやすいように工夫もされたいた。写真の様に谷に道を作ることあった。

現在では作業道を付け、トラックで行っている。

3.木材の運搬①「鉄砲堰」(てっぽうせき)

「鉄砲堰」とは?

川の下流へ丸太を流すために、水を堰き止め、水かさを増やしたところで、筏に組まれた丸太やそのままの丸太を、大量の水と一気に流すための物。水が少ないと、途中で止まってしまうため。

現在は、道路を使ってトラックで運んでいる。

4.木材の運搬②「筏による流送」

「筏」とは?

流送する丸太をロープやワイヤー、鎹などで固定し、筏を作っていた。筏を作ってそれに乗せて丸太を運ぶのではなく、運ぶ丸太自体が筏となり、川を下って運ばれていた。

5.木材の集積「水面貯木場」(すいめんちょぼくじょう)

「水面貯木場」とは?

筏となって運ばれてきた丸太が集積される場所。新宮では元々陸だったところを掘り下げて水を溜め、川に繋げてそこに丸太を溜めていた。

現在も、水面貯木場は違う地域では存在するが、新宮では埋立て陸上貯木場として使っている。

この他、新宮地方における木材市場の移り変わりや熊野材の魅力など、新宮木材協同組合のホームページにも掲載しています。ぜひ一度ご覧ください。